■退院〜10月中旬
 退院してから、どんどん体調が悪くなっていった。
 退院して3週間くらい経った頃には、「再入院しなさい」
 と言われた。

 クローン病は、入院回数が多いとは聞いていたが、
 こんなにいつも入院していては、これからの人生、マトモに日常生活を送れない。
 そう思ったので入院は拒否した。

 でも、また一日中横になっている、そういう状態になってしまった。
 またもや、痛みで眠れない。睡眠薬を使ってやっと眠りにつく。

 クローン病は原因不明である。
 しかし、工業地帯で多発していること、近年増加していること。
 欧米で多くみられることから食生活の変化の影響が推測されること、
 など、統計的にいくつかヒントがある。

 ワラにもすがる、とはこのことで、「再入院しなさい」と言われているような
 ひどい体調のときに必死に群馬へ行った。
 「環境汚染」の影響があるなら、空気の良いところで過ごすべきかと思ったから。
 電車に乗っている間は本当につらかったし、かかりつけの病院から遠く離れて
 しまって大丈夫なのか不安だった。

 医者が知ったら、なんとバカなことを、と思うだろう。
 でも、なにかしないと進歩がないと思った。

 僕は、気持ちの持ちようで病気なんて、たいてい治ると信じている。
 医者なんかに自分の人生を決めつけられてたまるものか!
 絶対治してやる、そう思う。
 その気持ちの持ちようは環境によっても変わると思う。
 「こんなに空気の良いところに来たのだから、もう大丈夫だ」
 そういう精神的なメリットもあると思った。

 実は、群馬へ移動したのはもう1つ理由があるのだが、それはまだ秘密にしておく。

 結果、数週間、群馬で過ごして、僕の体調はとても良くなった。
 寝ているだけの一日だったのが、多少、作業時間的に制限があるものの、
 まともにプログラマとしての仕事を復活させることができ、
 毎日散歩までできるようになった。

 それでこれからの人生でどう仕事と闘病を両立させるか、悩んだ末、
 故郷の群馬で、これから生活していくことにした。
 これは、本当に長い間悩んだ。
 仕事の問題、千葉に買ってしまったマンションの問題。
 難病ゆえ、群馬への転院が難しいという点も悩みの種になった。
 
 月に一度は千葉の病院へ行かねばならないというのが非常に面倒だが、
 それでも、結局群馬で生活する決心がついた。

 群馬で仕事したい、という旨を社長に伝えると、快く了解してくれた。
 社長、仕事の仲間、病院で知り合った人たち。
 僕は、健康には恵まれなかったが、人には恵まれているのだと思う。
 病気はうれしいものではないが、総合的に見れば恵まれた人生、生活を
 送らせてもらっていると思う。

 体調と相談しながら、ゆっくりと住む場所を探す。
 仕事のことを考えると、高崎に近いほうが良いのかと思ったが、
 結局藤岡で住む場所を決めた。
 仕事場としても使えそうな一戸建ての家。家賃は千葉の常識からすると、
 すごく安い。
 ちなみに、探し当てた物件の大家さんは親戚だった。
 田舎というのは、色んな意味で狭いものだ。

 住居を借りるために印鑑証明は千葉で取る必要がある。
 20日に外来で千葉へ行かねばならないので、そのときに印鑑証明をとることにする。

 9月半ばを過ぎると、仕事も本格的に入ってくるようになった。
 会社側も、僕が回復しているのを雰囲気として感じているようだ。

 退院してから、虫歯のせいで歯を一本失った。
 入院中の初期、ほとんど歯を磨いていない時期があった。
 ひどい状態で入院すると歯をみがくのもできないことは多々ある。
 ちょっと後悔するが、あの状態で歯磨きなんてできなかったので仕方ない。
 歯の治療のための通院も、けっこうつらい。
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■9月19日
 ・翌日病院へ行くので千葉のマンションへ移動。
  女房と子供は引っ越しの準備などのため千葉で過ごしている。
  久しぶりに会う。

■9月20日
 ・外来。今日は血液検査と尿検査。
  群馬で過ごしている旨、伝えると、電話で血液検査の結果を聞くように指示された。
  印鑑証明をとり、病院の帰りにそのまま新幹線で群馬へ行き、さらに車を運転して
  不動産屋へ。
  賃貸住宅の契約を済ませ、カギを受け取る。忙しい一日であった。

■9月27日
 ・病院へ電話して血液検査の結果を聞く。良好、すばらしい、と電話の向こうで
  先生が大きな声で言ってくれてうれしかった。
 
■10月17日
 ・翌日、外来で定期診察なので、千葉のマンションへ移動。
  だいぶ体調が良い。電車に乗っていてもつらくない。

■10月18日
 ・かかりつけの病院で診察。
  いつもの通り、状態を口頭で報告して、1ケ月分の薬をもらう。
  病院の帰りにそのまま新幹線で群馬へ戻る。

■10月23日
 ・マスタアップが2つ立て続けに終わったので、ちょっと開放感。
  午前中は、新居の各所寸法を測りに行く。
  窓枠測っておかないとカーテン買えないとか、絨毯とか。

  ついでに、体調が良いので調子にのって、車を運転して高崎まで出かけてしまった。
  ヤマダ電器をぶらついて、ハイドライドを買って帰る。

■10月27日
 ・女房と子供が千葉からこちら(群馬)へ来る。

■10月28日
 ・女房と子供と3人で新居件仕事場の掃除に行く。
  疲れたー。あらためて、体力の低下を実感。

■10月29日
 ・群馬の新居兼仕事場にエアコン設置。夕方、女房と子供が一度千葉へ戻る。

■10月30日
 ・絨毯を敷こうと、買いに行く。結局買っただけで力つき(笑)、
  買った絨毯を運び入れて終わり。敷くのは明日にしようっと。

■10月31日
 ・少々体調が悪い。だるい。
  一日中、ゴロゴロしていた。実りのない一日。

■11月2日
 ・朝からひさしぶりの下痢。なんでだろう?
  不安になったが夜には収まって一安心。
  仕事はほどほど。IPAの接続詞の処理と評価のデータファイルへの埋め込み。

■11月4日
 ・女房と子供が群馬へ来て合流。
  女房と子供は千葉と群馬を行ったり来たりせわしない。
  子供は新幹線に何回も乗れるので喜んでいる。

  引っ越しやさんが千葉から家具やらなにやらを新居に運んできた。
  住むための準備、ここで仕事をするための準備をしなければいけないのだが、
  体調悪く、僕の方はぜんぜんはかどらない。
  まだしばらくは実家で寝泊まり&仕事になりそうだ。

  女房は、カーテンの準備やら、掃除やら、マメに動き回っている。

■11月5日
 ・だるい。ただ一日横になっていた。

■11月6日
 ・相変わらずだるい。体が重い。
  体調悪いのが戻らない。下痢はとまったが、体が重い、重い。
  なんでだか、さっぱりわからない。
  
  千葉から車が届いた。
  女房が千葉で手配したものだ。車の宅配便なんてあるとは知らなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

退院してからの食事は成分栄養剤とお粥、ジャガイモ、ニンジンの煮物、白魚
えんえんと毎日飽きるほど同じものを繰り返し食べている。
また、調理には水道水を使用していない。
女房が、どこからか、クローン病には水道水が悪いと聞いてきたからだ。

間食は基本的にしない。
どうしても空腹をおぼえたときは、黒砂糖など。
食事の貧しさはどうしようもないが、入院したときの精神的、肉体的な苦しさを思えば
今の状態は天国みたいなもんだ。

今は、再燃しないで生活をしていくことを目標に、一日一日をゆっくり過ごしている。

戻る